Max Nardit
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GPT-6.1 Terra をコンピューター操作に使うなら: エージェント構成ではレビュー役よりワーカー役に向く

中位モデルが価格に見合うのは、実際に影響が出る前に結果を安く確認できる場面です。Terra のベンチマークが測るのはタスクあたりのコストですが、コンピューター操作で決め手になるのは誤クリック 1 回の代償で、OpenAI のグラフにはその軸がありません。

目次

OpenAI は 10 月 26 日に GPT-6.1 Terra を公開し、「a fast, efficient model that combines detailed visual reasoning and precise computer use」と紹介しました。料金は 100 万トークンあたり入力 $1、キャッシュ入力 $0.05、出力 $5 です。API では gpt-6.1-terra として提供され、ChatGPT Work と Codex でも Plus、Pro、Enterprise、Edu 向けに使えます。

発表記事は Terra をタスクあたりのコストで売り込んでいます。コンピューター操作について言えば、先に見るべき数字は別にあると思います。誤った操作 1 回がいくらの損になるか、そして実害が出る前に止められるか、です。

GPT-6.1 Terra の料金は Claude や GPT-6 Luna と比べてどうか

Terra の料金は Claude Sonnet 5.5 の半分、Opus 5.5 の 4 分の 1、Haiku 5.5 の 10 倍です。100 万トークンあたり Terra は入力 $1、出力 $5。Sonnet 5.5 は $2 と $10、Opus 5.5 は $4 と $20 です(Claude の料金表全体)。Haiku 5.5 は $0.10 と $0.50 で、入力 100K トークンの境目より下では GPT-6 Luna と同じ料金体系です。Terra のキャッシュ入力 $0.05 は、Sonnet のキャッシュ読み取り $0.10 の半分にあたります。

OpenAI のラインナップの中では、GPT-6.1 Sol の半額、GPT-6 Astra の 10 分の 1 です。Simon Willison は Terra を Anthropic でいう Sonnet の位置に置き、「not the cheapest or the most expensive, making it harder to decide when to use it」と書いています。価格だけで言えば、Sonnet クラスを半額で使えるということです。

GPT-6.1 Terra のコンピューター操作について OpenAI は何を主張しているか

トークン単価は Astra の 10 分の 1 で、OpenAI 自身のグラフによればスコアは Astra 並みです。建築図面から 3D モデルを作るような専門的タスクを集めたベンチマーク Agents' Last Exam で、medium effort の Terra は GPT-5.6 Terra より 15 ポイント高く、そのコストは GPT-5.6 Terra の「about one-third」、水準は「on par with GPT-6 Astra」だとしています。max effort では「over three times as token efficient as Claude Opus 5.5」で「a ~9x lower cost per task」、タスクの完了も Astra や Sol の 3 倍以上速いとのことです。

MMMU-Pro(視覚的推論)と OSWorld 2.1 も同じ傾向です。Terminal-Bench 4.0 では、max effort の Terra がタスクの 50.3% を解き、GPT-5.6 Terra の 21.5% を上回ります。ただし最も難しいコーディングについては、Sol と Astra が「remain the better choice」だと OpenAI 自身が書いています。OpenAI の Ted Sanders は Hacker News のコメントでもっと率直で、Simon Willison がそれを引用しています。

Terra is probably better than Astra and Sol at technical communication,
similar on vision and computer use (but much faster!), and a bit worse on
most other things.

GPT-6.1 Terra の主張のうち、今日検証できるのはどれか

料金です。Agents' Last Exam は表のないグラフだけで、速度の主張には絶対的な時間がありません。エラー率の結果(low effort で 53.6% から 16.7% に低下)は「our internal benchmark of error-inducing prompts」によるもので、再現できるほどの情報は公開されていません。

確かめられるのは、Opus との比較の掛け算が合うかどうかです。「over three times as token efficient」が請求額全体に当てはまるなら、価格が 4 分の 1 なのでコスト差は 12 倍を超えます。Terra がトークンをまったく節約しないなら、価格差だけで 4 倍です。OpenAI の約 9 倍はその間にあります。つまりこの計算では、効率の改善は請求額全体には及んでおらず、どの部分に効くのかを発表は説明していません。自分なら 4 倍から 12 倍のどこかになると見込んで計画します。コンピューター操作のループは毎ステップでスクリーンショットを送り直すので、まず自分の環境でステップあたりの入力トークンを数えてください。

GPT-6.1 Terra はエージェント構成に何をもたらすか

Claude を使う側から見れば、画面操作の分野で別ベンダーの中位モデルが十分に競争力を持つようになりました。ただし、危険度の評価も付いてきます。OpenAI によれば Terra は「meets the Critical threshold in cybersecurity under our Preparedness Framework」で、GPT-6 Astra 向けに作られた保護策をそのまま引き継いでいます。このしきい値はサイバー分野でモデルに何ができるかの評価に基づくもので、それを満たしたために Astra の安全策が適用されています。プロンプトインジェクションについて発表は「strong resistance」とだけ書き、詳細はシステムカードに譲っています。任意のページを読むエージェントを扱うなら、ベンチマークのグラフより先にその節を読むべきです。

OpenAI が選んだタスクを見てください。図面から作る 3D モデル、映像の修復チーム向けに作るショットごとの記録、そして届いた請求書を読んで会計ソフトに入力するという OpenAI 自身の例。どれも、誰かが行動に移す前に元データと照合できる成果物です。ベンチマークでは、失敗したタスクの代償は点数です。ログイン済みのアカウントでは、メッセージを送ったり設定を変えたりするクリックは、確認できる時点でもう効果を生んでいます。コストとスコアのグラフには、その軸がありません。

私の見立てでは、GPT-6.1 Terra はどこに収まるか

ワーカーの席です。向いているのは、実害が出る前に確認が入る仕事です。たとえばフォーム入力や画面からのデータ抽出で、より強いモデルか検証ステップが結果を読んでから送信します。この主張の根拠は確認しやすさです。「a bit worse」という評価だけでは、ワーカー役に向くとまでは言えません。以前、レビュー役の席はより疑うモデルに回すべきだと書きましたが、Terra がそのモデルかどうかは発表のどこにも書かれていません。書かれているのは、安くて速くて画面操作が得意だということで、それは二重チェックしても割に合うワーカーの説明です。

そのワーカーが OpenAI 製であるべきかは別の問題です。Claude で構成を組んでいるなら、Sonnet の半額の Terra は節約になります。ただしベンダーが 2 社になれば請求書も 2 枚、温めておくキャッシュも 2 つになります。ベンダーは役割で分けてください。ワーカーの出力を別の会話の中で読むレビュー役は何も失いませんが、会話の途中でモデルを切り替えるルーターは、引き継いでいた推論を落とすことがあります。2 つ目の連携は、量の多い仕事なら元が取れ、たまにしか使わない仕事では取れない、と推測しています。

エージェントで Terra を試すなら、使う前に出力を元データと diff できるタスクを選び、medium effort で動かし、9 倍という数字を信じる前にステップあたりの入力トークンをログに取ってください。グラフでは、失敗の代償はスコアが下がることだけです。ログを見れば、誤クリックが実際に何に触れたかがわかります。

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